遠笛

左官−挾土秀平のブログ
キヨスク・たかやま




このほど高山駅舎が建て替えられた。


この高山駅舎新築工事に
自分達は、まったく関わっていないが


今回仕事の依頼を受けたのは
この高山駅舎の中のテナントである
キヨスク店舗の工事で、
小さなファサード(7〜8m2)の仕上げである。





諸事情あって
最初はあまり乗り気ではなかった・・・・・

しかし、是非と望まれれば、ありがたく断る理由はない。


キヨスクは、これは社長の強い意向で
【たかやま】という文字のデザインも含めて、

とにかく
高山らしさを前面に押し出して頂きたくお任せしたい。
こちらとして、細かなことを言うつもりはありません


ついては、
それを優先したく、
我が社のロゴも排除してください。

今時、珍しい腹のある依頼主の言葉に
こちらも、しっかりと取り組むプレッシャーを感じたものだった。



考えると、
駅ほど感慨深い建物はない・・・・・
街と人と旅、旅と言う言葉に詰まっている感情は
旅立ち、悲しみ、喜び、別れ、出会い
駅は人の忘れられない記憶の背景に必ずあって
映画のシーンではないが、人生の場面になる場所だと言える。


一方、
三度、四度とリピートする
人々を迎え入れるのが街の力である時
駅は、いつものように自然に、ありのまま飾らずあれば
小さな街ほど馴染んで美しくなるような
住む者と同じ以上に、旅人のものとして
意味を深めてゆくのだろうと思う。



さて、それでどうするか?
あらためて、キヨスクを考える


まず、【たかやま】の文字は
気をてらわず、ゆったりと、しかし座っている
そんな字面を目指した。
文字は鉄の平板を、数日トンカチで叩いて切り抜き、
切り抜いた鉄の文字を、塩分や雨に当て、光を当て
およそ2カ月に渡り、錆させたもの。

その背景に地元の赤土に適度な荒わらを散らし
飛騨の民家の素朴な土壁を再現し
赤土に錆びの文字で仕上げた。


そして今後は
コンクリート製の枕木が主流となり
木製の枕木が消えゆく事を踏まえて
枕木を縁取りしてカットし、そこに春慶塗りを施した。

程よく朽ちた枕木探しには、全く苦労した
丸い犬釘も使用済みの本物を使った。



あと左右の袖壁に、
地元の家具職人と試行錯誤を重ねた目玉があった。


左袖を千本格子とし、
右袖には、菱形に組んだ木細工の中に
高山市市章をさりげなく組子細工化していて
それは、繊細でとてもモダンな出来栄えだったが
市章の民間使用は、許可できないと言う連絡により断念し
それによって予定のなかった
キヨスクのロゴを入れることになった。

左右の木工の手仕事は
見事な精度で仕上がり、大変な苦労をして貰った。



飛騨の魅力は、時間を刻んだ素朴と素材だと思っている。

それはどこの土地でも、新しい街でも目指すところだ。



土地柄、飛騨の手仕事は、
どうしても下手ではダメで、下手うまは見るに耐えない。
そして現代は精度が良すぎるのも【?】を思う。


良い腕前を持ってぶれている現象を技能とする。
それは絶妙なバランスや感覚が必要でとても難しく
本当の腕前がいる。


さて、
完成したキヨスクが旅人にどんな風に
受け取られるかわからないが
小さな壁だったが、たくさん考えた今回であった。


おおよそ完成して
キヨスクの社長と食事をする機会があって
その話は、土地柄や風土を想う見識の深いものであった。


『枕木を使うと聞いて、少し心配していました』


そんな言葉に、それでも、
ドッシリと、受け入れてくれていた

【東海キヨスク株式会社】に感謝申し上げたい。











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