遠笛

左官−挾土秀平のブログ
初志貫徹




最初に決めたことを徹底して貫く

最初に決めたことを
心にいつでも取り出せる場所に置いて、いつも考えている。

それは、環境が変わるほど、激しくなるほどに
心の前面に浮かんでくる。


どんな事にも、どんな人生にも
そのはじまりがあって、忘れてはいけない場面がある。



自分が東京と関わるキッカケとなったのは

高山の文化施設の館長として招かれた俳優、
故・渡辺文雄さんとの出会いにあった。


当時渡辺さんは、

地元の若者を集めて、何かをやりたくて
そこに俺をとても面白がって側に置き
一緒に新しい企画をよく考えたものである。


そんなある日

渡辺さんのもとにいくと、
渡辺さんが東京から呼び寄せた
イベント事業専門の同世代の人達が数人いて、
そのうちに意気投合し
やがて彼らの導きによって東京に足を運ぶようになった。

その頃、ちょうど
東京からの仕事依頼もひとつあって
彼等と、よく赤坂で飲んだものだった。



カウンターに腰掛ける。

「それで秀平さん、なに飲みます?」
「いやあ、なにって、みんなと同じでいいよ、」
(なにって言われても分からない)

「じゃあ、グラスワインの赤を3つね・・・・・・・」


昔はそれほど、酒を飲まなかったし
酒はただ酔うもので、味わう感覚なんてまるでなく
まして、赤ワインなんて、まず飲むことはなかった。

目の前に出された
グラスを取って、ひとくち含む。


(まあ、なんでもいい・・・・)
(なーんだこれ、渋いだけで、不味い)


ゴクっと飲み込んでいるだけ


それで話の合間に、含んでいるワインを
4つに折りたたんだ、おしぼりに口を当てて
ほんの少し、プッと吐き出してみた。

そして、そのおしぼりを
さらに2つ折にして、右を向いて話しながら
左手を、そのおしぼりの上に乗せている


会話の合間に、おしぼりを広げると
赤紫が白地にボワ〜ンと丸く滲んでいる。


その赤が、
東京に流れている今の身体の血を連想させた
そんな風に思っていたことを忘れない。

そうして
話を聞きながら、
ふっと我に戻って滲んだ赤に視線を落とす
これがはじめてに近い俺の東京のシーンであった。


おしぼりのワインの赤は
大東京という右も左もわからない地で張りつめて
今を生きている証し。







あれから十数年、
今は、グラスワインを自ら頼む。
少し美味しいとも思う。

そして、チャンスがあれば、人知れず
おしぼりにプッと吐いて、折りたたんでいる


するとあの頃の空気が蘇って、
慣れた東京がまた
新鮮な感覚となって感じられることがあるのだ
そして慣れた東京と自分の環境と
なんとか幸せにある、今この時の現実を実感している


こんな話をすると
謙虚ですね〜 なんて言われることがあるけれど
自分の中ではそんな意識は全くなくて
むしろ、今を必死に生きている。

どんなに慣れても、
慣れるほど、変わるほど、
あのはじまりと照らし合わせてみる


そうすると、
今の自分をリアルに知ることが出来たり


そうすることで
今を実感しながら
いろんな選択の判断の基準となっている。



おしぼりの赤を見ることで
不思議にあの頃の気分や空気が蘇る

時にはその感動から
ふっと創造力が掻き立てられてきたり

レベルの高い仕事になるほど
一瞬のあの頃に、少し引き戻されて考えている。



銀座和光の仕事も、アマン東京も、本の出版も
どんどん環境はかわっているけれど、それと同じだけ
おしぼりの赤が、頭の中の前面に浮かんで来る。


あのおしぼりを浮かべて


今、自分はどの方向で、どのくらい離れ、
どれくらい違う場所で
どれだけのエネルギーが必要かを
一度測っているのだと思う。


・・・・それが自分の初志貫徹。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


さて全く違う話になる。

いま、安全保障関連法案が審議されている。

日本は二度と戦争をしないという誓いを
専守防衛を持って、
唯一の国の真として70年ものあいだ、貫いてきた
70年ものあいだ、国の真を世界に示したのである。


この真が少しでも崩れれば
あらゆる判断基準がたぶんなくなり、

何処にいるのか、何処に向かっているのかが解らなくなる。
居場所を失う
戻れるあの頃を失うことになる。


この日々進歩してゆく現代の中で
国という枠組みで、70年ものあいだ貫いてきたことは
力のいる蓄積以外の何物でもない。
それが100年ともなれば、世界の誇りにもなりうるもの。


ただ日々のニュースを見てて思うのは

これこそは、
選ばれた代表者の人達で決めることではなく

国民一人ひとりの、
漏れなく全員の賛否を問うべき
真(まこと)の決め事だと、ただただ思う。









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